コールセンターでミスばかり――俺はもう、組織に合わせられなかった【Day 35】

自分史

俺は47歳。転職を30回くり返し、自己破産をして、今は生活保護を受けている。糖尿病と狭心症も持っている。完璧という言葉から、たぶん一番遠いところにいる人間です。

前回(Day 34)で、リヤカーの訪問販売の果てに狭心症で手術をした話を書きました。その続きです。

まず結論から言います。狭心症の手術のあと、カード関連の問い合わせ対応をするコールセンターの仕事に、派遣で入りました。でも、記録のミスがどうしても減らなくて、あるとき「改善する気はあるか」と聞かれ、俺は「ない」と答えました。それで契約は終わり、3ヶ月ほどで辞めています。あの「ない」は、投げやりだったのではありません。組織に自分を合わせ続けることに、もう限界が来ていたんだと思います。

Day 34の続き――狭心症のあと、コールセンターの仕事に就いた

狭心症の手術をして、リヤカーの訪問販売と共同生活を離れたあと、次に就いたのがコールセンターの仕事でした。大手のカード関連の問い合わせに対応する仕事で、雇用形態は派遣です。

体にメスを入れたばかりの時期でしたが、だからといって生活が急に立て直ったわけではありません。とにかく働かないと暮らしていけない。そういう状態で、この仕事に入りました。ヘッドセットをつけて座って対応する仕事なので、体力的にはリヤカーの日々よりは楽になるはずでした。

仕事は問い合わせ対応と、記録・チェックシートの記入

主な仕事は、カードをなくした人からの問い合わせに対応することでした。紛失したカードを止めたり、再発行の手続きを案内したり。そういう受け答えが中心です。

それとは別に、対応した内容を記録して、チェックするシートに記入していく作業がありました。誰と、どんなやり取りをして、どう処理したか。それをきちんと残していく。今思えば、この記録の部分が、俺にとっては鬼門でした。

記録のミスが、どうしても減らなかった

この記録・チェックシートで、俺はミスが圧倒的に多いと、社員の人から指摘されました。何度も、です。

電話の対応そのものは、まあ普通にできていたと思います。でも、そのあとの記録になると、どうしてもミスが出る。書き漏らしたり、間違えたり。自分でも「また間違えている」と分かるのに、なぜか減らない。注意されるたびに気をつけているつもりなのに、次の日にはまた同じようなミスをしている。そういう状態でした。

昔からのケアレスミスと、組織に合わせ続ける疲れ

思い返せば、ケアレスミスが多いのは、今に始まったことではありません。以前(Day 32)にも書いたとおり、小学校の頃からずっと、細かいミスの多い人間でした。答えがはっきりある仕事ほど、そのミスが目立ってしまう。それは分かっていました。

ただ、この時期にきつかったのは、ミスそのものよりも、組織のルールや文化に自分を合わせ続けることのほうでした。決められたやり方に、決められたとおりに合わせる。そのこと自体に、俺は心底疲れていました。仕事で自分から何か問題を起こしたわけではないんです。ただ、枠組みに自分をはめ込み続けることに、もう余裕が残っていませんでした。

「改善する気はあるか」――俺は「ない」と答えた

あるとき、クレームがあったあとで、社員の人からこう聞かれました。「改善する気はあるか」と。

俺は、「ない」と答えました。

普通なら、ここで「はい、頑張ります」と答えるところなのかもしれません。でも、そのときの俺は、そう言えませんでした。嘘をついて「頑張ります」と言うことも、そのとき浮かびませんでした。ただ、正直に「ない」と口から出た。それだけです。

投げやりだったのではなく、もう限界だった

「ない」と言うと、開き直っているように聞こえるかもしれません。でも、今振り返っても、あれは投げやりだったのではないと思っています。

前回(Day 34)で書いたとおり、この頃の俺は、お金にも心にも余裕がありませんでした。狭心症の手術をしても、その土台の余裕のなさは消えていなかった。そんな状態で、組織に合わせ続けて、記録のミスを直し続ける。そのための気力が、もう残っていなかった。「改善する気はない」というのは、本当は「これ以上は無理だ」という、限界のサインだったんだと思います。

3ヶ月で契約解除――業務の記憶は、ほとんど残っていない

その答えが決め手になって、契約は解除になりました。在籍していたのは、8月から11月までの、およそ3ヶ月です。またしても短期での退職でした。すぐ辞める癖については、これまでにも書いてきたとおりです(Day 8)。

不思議なもので、この時期の日常の業務のことは、ほとんど記憶に残っていません。強烈に覚えているのは、「改善する気はあるか」「ない」というあのやり取りと、辞めるまでの経緯だけです。たぶん、心に余白がなくて、毎日をただやり過ごすので精一杯だったんだと思います。

振り返り――合わせられないのは欠陥ではなく、限界のサイン

あらためて振り返ると、この時期は、合わせられないのは欠陥ではなく、限界のサインなんだと気づかせてくれる出来事でした。

出来事当時の見方今の見方
記録のミスが減らなかった自分は事務に欠陥がある昔からの傾向と余裕のなさが重なった
組織のルールに疲れていた自分に協調性がない合わせ続けることに限界が来ていた
「改善する気はない」と答えた投げやりで開き直ったこれ以上は無理だという正直なサイン
3ヶ月で契約解除になったまた続かなかった、ダメだ続けられる土台がなかっただけ
業務の記憶がほとんどないどうでもよかった心が限界で余白がなかった
合わせられなかった社会人失格合う・合わないと、そのときの状態の問題

ミスが減らないのも、組織に合わせられないのも、あなたが欠陥だからではなく、合わせ続けることに心と体の限界が来ていたサインかもしれません。「改善する気はない」という言葉さえ、ときには開き直りではなく、正直な悲鳴であることがあります。あのときの俺には、それが精一杯の正直さでした。だからまず必要なのは、自分を責めることではなく、限界のサインに気づいてあげることだったんだと思います。

自分史と『考え方』の読み方ガイド

ミスが多く、組織に合わせられずに悩んでいる人へ
仕事の向き不向き・ケアレスミスの話(Day 32)
お金と心の余裕のなさの話(Day 34)
すぐ辞める癖の話(Day 8)
居場所を選び直した話(Day 31)
考え方の土台(Day 1)

前の話・これまでの流れを読みたい人へ
前回:Day 34から読む

全体の考え方を知りたい人へ
Day 1 / ▶ Day 3

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