また働くのが怖かった――「就労移行支援」という入り口にたどり着くまで【Day 38】

また働くのが怖かった――就労移行支援という入り口を探した時期 自分史

はじめまして、あるいはいつも読んでくださってありがとうございます。俺は47歳、これまで転職を30回くり返し、自己破産をして、いまは生活保護を受けながら暮らしています。糖尿病と狭心症も持っていて、完ぺきという言葉から、たぶん一番遠いところにいる人間です。

この記事は、そんな俺の自分史の続き(第27話)です。前回(Day 37)で、俺は生活保護という「土台」にたどり着きました。今回は、その土台の上で、もう一度働くことを考え始めたときの話です。

先に結論を書きます。また働くのが怖かったのは、甘えでも弱さでもありませんでした。「同じやり方に戻れば、また同じところでつまずく」と、自分でわかっていたからです。だから俺は、いきなり元の働き方に戻るのではなく、その間にある一歩――「就労移行支援」という入り口を探すことにしました。ただ、そこにたどり着くまでには、いくつもの壁がありました。

Day 37の続き――生活保護という土台の上で、また働くことを考えた

2022年の9月、俺は仙台のコールセンターの仕事を辞めました。正確に言うと、その少し前、7月や8月のころから、すでにうまく働けなくなっていました。朝、準備はできる。着替えて、玄関の前まで行ける。でも、そこから外に出られない。電話で「お腹が痛くて」と嘘をついて休む日が、少しずつ増えていきました。

いま振り返れば、あれはメンタルが限界に来ていたサインでした。当時はそんなふうには思えず、ただ「また自分はダメだ」と感じていただけです。

そのあと、生活保護を受けることになりました。詳しくは前回のDay 37に書きましたが、俺にとって生活保護は「終わり」ではなく、もう一度立ち上がるための「土台」でした。生活が最低限守られる、その土台があったからこそ、俺はやっと「これからどうしよう」と考える余裕を持てたんです。

でも、「また働くのが怖い」という気持ちが強かった

土台ができたら、次は当然、また働くことを考えます。生活保護はあくまで一時的な土台で、いつまでもそこにいるつもりはありませんでした。

でも、いざ「また働こう」と思うと、体の奥のほうから、はっきりとした怖さが出てきました。求人サイトを開こうとしても、指が止まる。面接の場面を想像するだけで、胸が苦しくなる。

「働くのが怖い」なんて、当時の俺は口に出して言えませんでした。いい大人が、しかも40代の男が、そんなことを言うのは恥ずかしいと思っていたからです。でもいまなら言えます。あれは、本当に怖かったんです。

また同じように働けば、また同じところでつまずく気がした

その怖さの正体を、俺は少しずつわかってきました。ただ漠然と怖かったわけではありません。「また同じように働いても、また同じところでつまずく」――そういう予感が、はっきりとあったんです。

俺はこれまで、数えきれないほど仕事を辞めてきました。うまくいかなくなると、すぐに辞めてしまう。そのくり返しでした(このあたりの癖についてはDay 8に書いています)。

だから、いまここで、また同じように求人を探して、また同じように働き始めても、結局は同じことになる。そういう冷静な予感が、俺の指を止めていたんだと思います。いま思えば、あの怖さは、甘えではなく、むしろ自分をちゃんと見ていたからこそのものでした。

だから、いきなり元に戻る以外の道を探し始めた

それで俺は考えました。同じやり方に戻れば同じ結果になるなら、同じやり方に戻らなければいい。いきなりフルタイムで働くのではなく、その手前に、何か「間の一歩」はないだろうか、と。

正直、そのときは具体的な当てなんてありませんでした。ただ、「このまま同じことをくり返してはいけない」という思いだけが強くありました。それで、スマホでいろいろと調べ始めました。困っている人を支える団体はないか、いきなり働く以外の道はないか、と手探りで探していきました。

偶然見つけた「就労移行支援」――「これしかない」と思った

そうやって調べているうちに、俺はある言葉にたどり着きました。「就労移行支援」です。

正直に言うと、そのときまで俺は、この言葉すら知りませんでした。でも内容を読んだ瞬間、「これだ」「これしかない」と思ったんです。いきなり働くのではなく、通いながら少しずつ働く準備をしていく。生活のリズムを整えたり、パソコンのスキルを身につけたりしながら、次の一歩に備える。まさに俺が探していた「間の一歩」が、そこにありました。

あの夜のことは、いまでも少し覚えています。ずっと胸につかえていたものが、少しだけ軽くなった感じがしました。久しぶりに、「まだやれるかもしれない」と思えたんです。ようやく出口が見えた気がしました。

就労移行支援とは?
働くことに不安や困難を抱える人が、一般企業などで働けるように、通いながら訓練やサポートを受けられる福祉サービスです。生活リズムづくり、パソコンなどのスキル訓練、就職活動の支援などを受けられます。利用には一定の条件があり、俺の場合はここから、いくつもの手続きが必要でした。

でも、そこに通うまでにいくつもの壁があった

「これしかない」と思えたのはよかったのですが、実際に通うとなると、そこからが大変でした。就労移行支援に通うには、医療機関で診断書を書いてもらう必要があったんです。

ところが、その病院を見つけるのが、まず大きな壁でした。予約を取ろうとしても、なかなか取れない。ようやく予約が取れた一軒目は、診断書に数万円かかると言われて、当時の俺にはとても払えず、あきらめました。別の一軒では、こちらの事情で受け入れを断られてしまいました。

「せっかく前に進もうと決めたのに、その入り口にすらたどり着けない」。そのときは、正直こたえました。俺が弱いからうまくいかないのか、とまた自分を責めそうになりました。でもいま振り返ると、あれは俺が弱かったからではありません。支援にたどり着くまでの入り口そのものが、実際に高いハードルだったんです。

それでも諦めず、一つずつ越えていった

断られたり、費用の問題でつまずいたりするたびに、心は折れそうになりました。でも、ここで止まったら、また元のくり返しに戻ってしまう。それだけは避けたかった。

途中、どうしていいかわからなくなって、公的な相談窓口にも相談しました。そこで「そこにこだわって争うより、次を探したほうがいい」という趣旨のアドバイスをもらい、俺は気持ちを切り替えて、また別の病院を探し始めました。

いま思えば、この「一つずつ越えていく」という感覚は、これまでの俺にはなかったものでした。以前の俺なら、一度断られた時点で「もういい」と全部投げ出していたはずです。でもこのときは、どうしても諦めたくなかった。だから、時間はかかっても、探し続けました。どこで自分を立て直すか――環境を選ぶことの大切さは、Day 31にも書いています。

そうしてようやく、2023年の春を過ぎたころ、通える医療機関が決まりました。最初に調べ始めてから、ずいぶん時間が経っていました。

最後は「人」で決めた――通う先が決まるまで

診断書のめどが立ったので、次は肝心の、どこの就労移行支援に通うかです。就労移行支援は、必ず見学してから決めるのが基本だと知り、俺は候補を4つほど見つけて、そのうち3つを実際に見学しました。

見学して回るなかで、最終的に俺が決め手にしたのは、施設の中身やプログラムの内容ではありませんでした。「人」でした。

ある就労移行支援に最初に電話をかけたとき、対応してくれた人が、俺の話をものすごく親身になって聞いてくれたんです。とにかく熱い人で、電話を切ったときには「もう、ここしかない」と思っていました。プログラムの善し悪しを比べる前に、この人たちとなら、と直感で決めた感じです。

いま振り返っても、この「人で決めた」という選択は、俺にとって正解でした。実際、このあと通うことになるこの場所の人たちは、俺の人生にとって、とても大きな存在になっていきます。その話は、また次回に書きます。

振り返り――入り口にたどり着くまでが大変でも、諦めなければ前に進める

こうして振り返ると、2022年の秋から2023年の春までのこの時期は、「何かを成し遂げた」時期ではありません。ただ、就労移行支援という入り口を見つけて、そこに通えるようになるまで、ひたすら壁を越え続けた時期でした。

でも、俺にとってこの時期は、とても大事な意味を持っています。

「また働くのが怖い」と感じたとき、俺はその怖さを無視して無理やり元に戻ろうとはしませんでした。同じやり方に戻れば同じ結果になると、ちゃんとわかっていたからです。だから、間のステップを探した。そして、その入り口にたどり着くまでに何度も壁にぶつかっても、今回だけは諦めませんでした。

入り口が遠かったのは、俺が弱かったからではありません。そういうハードルは、実際に高いんです。だからもし、いま同じように「その入り口すら遠い」と感じている人がいたら、それはあなたのせいではない、と伝えたいです。一つずつ越えていけば、ちゃんと前に進めます。こういう「考え方の土台」については、Day 1にまとめています。

あの頃の見方と、いまの見方

できごと当時の見方いまの見方
また働くのが怖かった甘え・弱さ同じ失敗を避けたい冷静な判断
いきなり働かない道を探した逃げ間のステップを選ぶ賢さ
就労移行支援を知らなかった選択肢がない知らなかっただけで道はあった
通うまでの壁自分がダメだから入り口のハードルは実際に高い
最後は人で決めたなんとなく人で選んだのは正しかった

もし今、あなたも「また働くのが怖い」「どうすればいいか分からない」と立ち止まっているなら、どうか一人で抱え込まないでください。就労移行支援のような支援や、お住まいの自治体の福祉窓口、公的な相談窓口があります。誰かに頼ることは、弱さではありません。俺も、頼ることでようやく前に進めました。

自分史と『考え方』の読み方ガイド

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。もしよかったら、あなたの気になるところから読んでみてください。

▶ また働くのが怖い・同じ失敗をしそうで動けない、と感じている人へ
Day 37(生活保護という土台)Day 8(すぐ辞める癖)Day 31(居場所の選び方)Day 1(考え方の土台)

▶ 前回の続き・これまでの流れを読みたい人へ
Day 37 から順に、Day 12 まで時系列でさかのぼれます。

▶ このシリーズ全体の考え方を知りたい人へ
Day 1Day 3(全体ガイド)

次回は、いよいよ就労移行支援に通い始めてからの話を書きます。ここから、俺の毎日は少しずつ変わっていきます。よかったら、また読みに来てください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました